歯科医師の資格について

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7年の月日

歯科医師になるには、国家試験に合格することが必要であり、国家試験を受けるための資格を得ることから始めなくてはなりません。
国家試験を受けるためには、高校卒業後に歯科大学や大学の歯科部の卒業が必要です。
これらの学校は6年制で、歯科医師国家試験に合格した後も1年以上の研修が必要であるため、医師として本格的に活動を始めるには最低でも7年はかかるということになります。

歯科医師国家試験は、他の国家試験に比べて難易度が高いとされています。
看護師や医師、助産師といった国家試験は合格率が90パーセント近いのに対して、歯科医師国家試験は60パーセント代です。
以前は80パーセント近くの合格率であったのですが、平成25年からは60パーセント代を推移しています。

この原因として、歯科医師の供給過剰の問題があります。
歯科医師が飽和状態にあるとして、平成18年に厚生労働省と文部科学省が歯科医師の数を減らすために、歯学部の定員削減と歯科医師国家試験の合格基準の引き上げをしました。
国家試験の合格率はこれからも低下することが考えられており、更なる難化が予想されています。

国家試験の合格者は約6割が新卒で、既卒で浪人した人の合格率はその年数が上がるほど下がっていきます。
基本的には、1年目の試験の際に試験対策を十分に行って確実に合格することが求められますが、不合格となり浪人することになった際には翌年の試験まで勉強をどのように行うかを検討する必要があります。
歯科医師国家試験対策の講座のある予備校に通ったり、独学で勉強するのが一般的な方法ですが、独学での学習はメンタル的にも辛い場面が多いので予備校に通う人がほとんどです。

歯科医師に求められるもの

歯科医師というと、虫歯やその他の口腔内のトラブルに対して治療をしたり処置をしたりするのが仕事と考えられます。
しかし、それ以外にも仕事があり今後様々なことが期待されています。

厚生労働白書にて『患者の視点を尊重した医療を推進し、質が高く効率的な医療連携体制を構築すること』という記載があります。
これは、国民のニーズが多様化していることや、患者の権利をより尊重した治療の在り方、というように医師の一方的な医療方針の提案だけでなく、患者からの意見も汲み取ること、双方向でのコミュニケーションでの治療を実現することを目標としています。

このような背景があり、歯科医師になるためには1年間以上の臨床研修が必修となりました。
この研修を通して歯科医師を育てることだけでなく、地域との連携や患者のニーズを知るという意味もあります。

最近では、歯科医師に求められるものも変わってきています。
虫歯の治療でも少しでも痛みを緩和するために麻酔を多用する治療もありますし、削る部分を最低限にする治療もあります。
他にも、予防歯科という新しいジャンルの虫歯や口内トラブルを予防するための治療も始まっています。

そして、現代は高齢化社会となり高齢者の歯のケアも注目されています。
いつまでも健康な歯を残すための治療はもちろんですが、動くことが難しい入院中の老人や自宅で過ごしている老人に対して、どのように処置をするかということも考えなければいけません。

そこで、歯科医師は学生時代に学んで国家資格を取得したら十分というのではなく、医師として働き出してからこそしっかりとニーズにあった勉強をすることが求められます。
自分の医院を開業するためには、情報収集は欠かせませんし、セミナーなどに参加して、開業に関する知識を学ぶことも重要になってきます。

医療技術は日々進化しますから、常に新しい情報を入手して、自分の患者さんへのニーズに応じて取り入れていくことが必要です。