早期のリハビリ過程を含む早期離床という考え
以前はICUにいる患者さんなど、ある程度症状が重い患者さんの場合は、ベッドで安静にしている方が回復しやすいと考えられていましたが、今ではむしろ離床した方が回復が早いということが分かっています。
そのため、一般的に早期離床が勧められるようになっているのです。
ここで言う早期離床とは、単に寝たきりの状態から、自分で起きて歩けるようになったということではなく、それに至るまでのプロセスも含んでいます。
つまり、完全に離床ができるように、早期リハビリを行い、何らかの形で体を動かしていくというプロセスです。
たとえ、自分で歩くことができないとしても、そのためのリハビリを行うことで、身体機能の回復が促されることになりますので、患者さんの回復を早めることになるのです。
寝たきりのままだとたくさんの合併症をもたらすリスクがある
このように、医療の現場で早期離床を必要としているのには大きな理由があります。
それは、寝たきりのままの状態が続くと、様々な合併症が起きてしまうことが多いというものです。
代表的なものとしては褥瘡があり、患者さんにも大きな苦痛をもたらすことになります。
また、全身の筋力低下がもたらされると同時に、神経系の障害を引き起こすリスクが高くなります。
さらに、呼吸器系の機能低下が起こりやすく、人工呼吸器が外せなくなってしまうということも少なくありませ。
やはり、人間は体を動かすことによって生命活動を行っていますので、たとえ大きな病気を患っているとしても、少しでも体を動かすことは重要なのです。
少なくても、看護師などのサポートを得て、自分の力でなくても四肢を動かすことによって、血流が改善され神経や脳への刺激が与えられることになります。
鎮静中でもできる運動がある
ベッドの上でしか行動できないとしても、たとえ鎮静中でもできる運動がありますので、少しずつ負荷をかけて早期離床をしていくことができます。
たとえば、鎮静中であってもヘッドアップをしたり、体位を変えたりして、体の一部であっても動かすという変化を付けることができます。
また、自分で動く運動は難しいとしても、家族や看護師の力によって、腕を上げたり、状態を多少上げたりして、体の動きをさせるというのも効果的な方法となります。
少しずつ自分で体を動かせるようになってきたら、常に誰からのサポートを受けながら、体位を自分で変えたり、腕の上げ下げ、座位を取るなどの運動ができます。
もちろん、大きな負担とならないように無理をしてはいけませんが、少しずつ負荷を増やしていき、筋力を低下させることなく早期離床が進むようにします。
本人に痛みがあるなどの問題もありますが、状況を見ながらプロセスを進めることが重要です。